毎日新聞 平成15年8月1日掲載
蓮池、地村、曽我さんの子供 日本のNGOが面会
北朝鮮側「帰国すべきだ」 事務局長明かす 


 北朝鮮による拉致事件で、日本のNGO(非政府組織)メンバーは31日、拉致被害者で帰国した
蓮池薫さん(45)ら5人の子供とされる6人と平壌で面会したことを明らかにした。引き合わせた
北朝鮮の政府関係者は「(この子たちは)日本に帰るべきだ」と、子供を帰国させる意向を示し
たという。メンバーは子供の写真と手紙を携えて帰国し、政府の内閣官房拉致被害者・家族支援
室などに伝えた。一方、政府はNGOを通じた帰国交渉には原則として応じない姿勢で、核開発問
題をめぐる多国間協議の行方もにらみつつ慎重に対応していく方針だ。

 面会したのは、人道支援NGO「レインボーブリッヂ」(本部・東京都中央区)の小坂浩彰事務
局長(50)。子供は、▽蓮池薫さん、祐木子さん(47)夫妻の長女(21)、長男(18)▽地村
保志さん(48)、富貴恵さん(48)夫妻の長女(21)、長男(19)▽曽我ひとみさん(44)
の長女(20)、二女(18)。

 曽我さんの娘2人は、週刊誌「週刊金曜日」で昨年11月に報じられた写真と同一人物に見えた
という。地村夫妻には3人の子供がいるが、二男(16)は林間学校に行っており、面会できなか
ったという。小坂事務局長は人道支援の打ち合わせのため26日に訪朝し、北朝鮮の政府関係者
から「(子供たちに)会わせる」と持ち掛けられた。面会は28日だった。

 小坂事務局長によると、蓮池さんと地村さんの子供4人は明るい表情で「(両親に)仕事頑張
ってくださいと伝えて」と話し、自分たちが日本人であることを知らない様子だった。曽我さん
の娘2人は事情を知っている様子で、「早く(母に)会いたい」と深刻な表情で話した。小坂事
務局長は子供3組とそれぞれ写真を撮り、親にあてた手紙3通とともに持ち帰った。

 北朝鮮の政府関係者は子供について「日本に帰るべきだ」と話したが、「帰す」とは言わず帰
国時期や条件などにも触れなかったという。

 29日に帰国した小坂事務局長は家族会の横田滋代表や政府の支援室などに伝えた。写真や手紙
は蓮池さんらに直接手渡して、最終的な子供の本人確認などをしたいという。

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