毎日新聞 平成16年5月18日掲載
拉致家族 「地村さん二男は大学へ」 NGO事務局長語る
 帰国した拉致被害者5人の子供と北朝鮮で面会したことがあるNGO「レインボーブリッヂ」
の小坂浩彰事務局長(51)が17日、小泉純一郎首相の再訪朝を前に毎日新聞のインタビュー
に応じ、「地村さんの二男は商業大学に入り、曽我さんの夫は入院していると、北朝鮮側から聞
いた」などと家族の近況を話した。また、「早期の国交正常化につながる訪朝であってほしい」
と語った。

 小坂氏は03年7月以降2回、地村保志さん(48)夫妻の二男(16)を除いて、被害者5
人の子供計6人と面会。持ち帰った手紙や写真、ビデオテープなどは、政府を通じて被害者に届
けられた。今年も人道支援事業の打ち合わせで既に8回訪朝している。

 家族の近況を聞いたのは4月で、子供はいずれも元気に暮らし、北朝鮮の大学入学年齢に達し
た地村さんの二男は商業大学に進学したという。曽我ひとみさん(45)の夫ジェンキンスさん
(64)は、内臓の病気で平壌市内の病院に入院していると聞いた。ジェンキンスさんは02年
11月、入院先とされる病院で日本のメディアの取材を受けたが、翌月に曽我さんあてに届いた
手紙には「退院して自宅で元気に生活している」と書いてあった。

 小坂氏によると、昨年大学を卒業した地村さんの長女(22)、蓮池薫さん(46)夫妻の長
女(22)は、ともに同12月の段階で勤務先が決まっておらず、家事や国の機関から呼び出し
があったときに仕事をしていると自ら話したという。

 蓮池さんの子供2人は活発で、特に電子計算機単科大学生の長男(19)は「機知に富んだ会
話を楽しむ感じだった」。地村さんの子供はおとなしい印象を受けたという。いずれも「親に会
いたい」と話し、特に曽我さんの子供2人は盛んに「母に会いたい」と漏らしたという。小坂氏
は「どの子も同じ年ごろの日本人と比べ礼儀正しく、しっかりしている」と語った。

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